So-net無料ブログ作成
検索選択

Cherry・Sunny・Monday(飲食篇) [外食]

さて、先日の続き(やっぱ続くんかい)。
クリニックから父と徒歩で移動して、岡山駅西口側の富士屋へ。
方向音痴親子二人、また迷って奉還町商店街までフラフラ。
そこで、ローカルニュースなどで観ていた、移動式神社を発見。
その名も「小判君神社」☆詳しくはこちら(※pdfファイルです)にて。


↑コレ。岡山工業高校制作。聞いたところによると、ファジアーノ岡山の試合の日なんかは、商店街の入り口までゴロゴロ移動。お賽銭入れたら、おみくじが出るそうな。ちょっと可愛いかも…。
「はようはよう」と父に急かされ、お賽銭は入れ損ねた。スマン、また今度。
少し来た方向へ戻って富士屋で中華そば。
父は初めて、私もかなり久々だったんだけど、お店が改装されて綺麗になってた。


↑外観こんな感じ。上記HPはまだ前の写真なので、比べて頂ければ。
看板によると3/14にリニューアルオープンしたばかりみたい。
中に入ると、奥の畳の上がりは残してある様子。
テーブル席に着くと、黒or濃紺地に白、富士屋のロゴのバックプリントが入ったTシャツの男子店員が
「お荷物こちらへどうぞ」
と、カゴを脇に置いてくれる。一風堂とかお洒落カフェ方式ですな。
後ろの席で、水をこぼしたか何かで
「ああ~、ごめんよぅ、大丈夫?私が引っかけてしもうてから」
と奥様の慌て声。すかさず店員がふきん片手に左手の厨房から出て来て
「大丈夫ですか」
私は敢えて振り返らず、相手の反応はあまり窺えなかったけど、きびきびした対応で気持ちがいい。


↑中華そば。コシのある中細ストレート麺、とんこつ醤油、相変わらずで懐かしい味。岡山の基本スタイルはやはりこれなんだろな。
しっかり食べて、店を出る。
父に感想を訊くと
「うん。麺が細いからええな。浅月にもちょっと似とるようなな」
「ん?浅月の本店がさっきの富士屋の向かいにあったんじゃけど…」
「そうなん?全然気付かんかった」
は~、私の注意力散漫は父譲りだな、間違いなく。

そのまま、歩いて岡山駅へ。
さんすてLUPICIAのブースでウロウロしていたら、
「さくらんぼのお茶でございます。どうぞお試しください」
と女子店員に小さい紙コップを渡される。
おお、若草というか萌黄というか、綺麗な色。甘酸っぱく爽やかないい香りだなぁ。
今日は岡山の桃か葡萄のお茶にしようと思って来たんだけど、これ、気になるぞ。
で、うろうろ探してみたんだけど、さくらんぼのティーバッグは見当たらない(缶入り茶葉はある)。
私は一日の大半コーヒーを飲んで過ごしているので、出来れば紅茶は手軽なティーバッグがありがたい。最近はルピシアも家用の簡易包装などが出ているので、そのあたりを何度も見たけど見付からず。
ひとまず、マスカット紅茶を手に取り、迷った末(ヘタレなのです)、
「こちらのカゴをお使い下さい」
と近付いて来た女子店員に声をかける。
「あの、さっき試飲で頂いたお茶、ティーバッグはありますか?」
「おいくつ御入用でしょう?お一つでよろしければ、ギフトセットの中にございます。単品ではまだ出ておりませんで…」
あ、そうなんだ。試飲で出すのに、別個に売ってないとは商売気がないというか。まぁ、緑茶ベースっぽいし、葉っぱが基本なんだよね(ウチは洗い物軽減のため、緑茶も業務用ティーバッグ…)。
「えっと、とりあえず、ひとつでいいんですけど…」
言いつつ、セットで買う余裕はちょっとないんだけどな、と困っていたら、10包み入りで780円、と単価を伝えられ、
「これを、おひとつで。ハイ、かしこまりました」
と、その場で迷わずギフトセットを解体、中に納まっていたさくらんぼヴェールの個箱を手渡される。
私があっけに取られているうちに、箱の残りはさっさっと手早く片付けられ、空いた場所もあれこれ並び替え、整えられていった。
…まあ食品だから、理屈では部分的にせよ早め早めに売っていくべきだろう。でも、デカいものは基本デカいままでオススメして、要らないと言われたら別のものを出すか引くか、って対応しか予想してなかった。
うーん、不覚にもジーンと感動(精神状態が荒んでるのかしら…)。


↑買ったもの。フレーバーにも好き嫌いがあるんだけど(基本はお茶ならお茶そのものの香りが好きで、ハーブティーと頬杖が似合う系の女子ではない)、この店では今のところハズレがない。

クリニックへ戻り、車で旭川方面へ。
次回は花見の巻(続くんかい!)。

今回もTiltShift Generatorのウェブ版とgimpでごちゃごちゃと画像いじってお送りしました。おそまつ。

Cherry・Sunny・Monday(診察篇) [私事]



おもむろに、4/5の外出記録など。
睡眠6時間。まぁまぁ上出来。父の車でクリニックへ移動。
数日前まで雨の予報だったんだけど、いい天気になった。That's花見日和。
やっぱ私は雨女ではないらしい。って、基本迷信だと思うけど、友達と「私達、合わせ技雨女かも~?」という話になったことがあって。
晴れの国岡山住まいにして、何故か一緒にいる時の降水率が妙に高い…。
でも「私、外仕事もあるけど、いつもは降らんよ?」との事。
彼女は必死で雨じゃなかった日の記憶を辿っていたなぁ。ゴメン。

助手席で鞄を探っていて、隠れ家の鍵が見当たらなくて焦る。
「おいおいおい、鍵は大事なんじゃけぇなくさんようにせんと」
と父。わーっとるわ!なんとなく見当はつく。前に出掛けた時にナイロントートに持ち変えたから多分その中。トートは私の車の中。外出時は毎度注意力散漫だなぁ。
…と考えていると、父がゲホガホ、グォッホゲホゴホホ、ンガググ!と激しく咳込む。
サザエさんの「来週も見て下さいね」か!(今やってないか)
「お父さん、大丈夫?」と優しく言いたいところだが、癇に障り八釜しい(←※漱石調アテ字。「やかましい」)…。

診察では、自主レポ17162字(要約しろっつの)を渡し、拙作(現代詩)が掲載された書籍の著者分も持参し、ドクターに見せて報告、というか、ちと自慢。
(販促的には書名出すべきかもだけど、筆名使ってないのと、宣伝は自由雑記に似合わないので今のところは省略)
「こんなことしてる場合なのかな、とも思ったりして…」
「いえいえ、こんな不安定な時代だからこそ、芸術はひとを救うと思いますよ」
「や、そんな大層な人間じゃないので…」
同人の詩の会への参加について、お師匠様が紹介してもよいと仰っているが、病気の浮き沈みで迷惑をかけることが心配で迷っていることも相談。
「焦ることはないけどね。もし新たなコミュニティに属する場合、最初は無理せず見学などで、徐々に馴染んでいく方法があれば望ましいんだけどね」
というようなことを言われる。
うーん、実際は、覗いておいて入らないのも失礼な話だし、現実的でないような気もするけど、私の状態、てんから無理というわけでもないらしい。余計悩む。

あとは、うちの父がギターを弾くというのに突然感心される(私が生まれる前から弾いてるみたいだし、別に上手くはないし、ギター話自体は今に始まったことじゃないんだけど)。
「私も一年ほど弾いてますよ。ヘタなんですけど」
「僕もねぇ、持ってて何度かチャレンジするんだけど、難しいねぇ」
「あぁ、Fの壁とかよく言いますよね」
「あ、Fっていうのがあるの?」
って、アレ?
ギターをかじった方なら御存知かと思うけど、難しくて躓くのってFあたりからでは…。コードストロークじゃないのかな。
短い指でセーハだバレーだ、皮が剥ける泣きの練習は共通かと思いきや。
もしくは持ってるだけで忙しくて弾いてないとか。それ、ちょい貸して!

連休絡みで次回診察日がずれる旨確認の上、席を立つと
「本、嬉しいお知らせをね、ありがとうございます」
とドクター。確かに、あんまりないよな、そういう報告も。

精算して、待合で伝言ノートを開く。
無印のA5版無地のリングノートで、今20冊前後。患者が任意で手書きメッセージを読み書きする、アナログTwitterといったところ。
連絡先記入はトラブル防止のため今は禁じられている。
色鉛筆と筆記具も置いてあるので、私はペンだけ自分のを持参してあれこれ落書きしている。
毎度色鉛筆が折れまくっているのがカナシイ。鉛筆削りも置いてくれぇ。
初めて声をかけられる書き手さんのページに、「chisatoさんの字と絵をいつも楽しみにしています」とあって、顔に出さないように喜ぶ。
こういう買いかぶり、ごくたまにある。落書きは下手の横好き、意外で嬉しい。
ついでに「どうやってダイエットされてますか」とも訊かれ、お節介にあれこれ書き残す。ひとに意見できる立場じゃねーだろ、お前…。

書き終わって院外薬局へ。
小柄な、年配の薬剤師の女性に
「今度から制度が変わりましてね、ジェネリックに変更できるものについてはジェネリックをオススメしてるんですぅ」と言われる。
ジェネリック(=後発医薬品)は無論知っているし(黒柳徹子さんのCMもありますね)、医療費引き下げは全体方針。
選択出来たら安い方にしておいて下さいとドクターに言ってるはずなんだけどな~と思いつつ
「え、まだ変えられるやつがありますか?」
「ハイ、XXXX(主剤)とロキソニン(鎮痛剤)が」
「あ、ジェネリックあるんですか。んー、ロキソニンは頓服だし変えて頂いてもいいですが…。XXXXは主剤なんですけど、どうなんですかね?」
「主成分は一緒です。ただまあ、添加物などは少し違って来ますから、副作用などは、正直飲んで頂かないと判らないところもありまして」
「えーと、薬価はどのくらい違いますか?」
「あ、それも調べてみましょうかね」
との事で、奥の端末の前に座っている別の女性薬剤師がせわしなくキーボードをバカスカ打って何やら試算している模様。
で、システム上、仮請求書を出力しないとトータルの価格が出ないらしい。
その紙を持って、年配の薬剤師女性が申し訳なさそうに長椅子の方に来て
「もうひとつ変えられる薬があったので、それも併せて変更して計算したら90円しか違わんのんですぅ」
「え、あ、そう、ですか…」
「今お薬が合われとるんじゃったらねぇ、無理に変えん方がええかも…」
「まあ、そうですよね(笑)」
「そしたら、元のままでお出ししときますから」
というわけで、変更なし。
多分あの仮請求書を出す手間の時間チャージで軽く90円は超えてるんじゃなかろうかと。
後で冷静に考えてみたら、私は自立支援法の対象者なので(意外と「重度かつ継続」な診断だったりする。現政権は法案廃止の方向に向かってるようですが)、自己負担が国保の3割負担の1割(保険証利用にて窓口で1000円払う場合100円)になる計算。だから多分、通常なら支払いが900円違うんじゃないかな。
私の財布としては変えるメリットがあまりなくても、残りの810円は国が払うなら、変えとくべきだったのかな…。でも副作用出たらしんどいしな。

というあたりでひとまずアップ。暗いなぁ。
写真は、クリニック近くの道端でみつけたヒナギクというかデイジーというか。一緒か。
とあるステキ女子さん他のブログで見つけたTiltShift Generatorのウェブ版で遊んでみました。
ケータイ割賦が残っているので、iPhone導入は相当先になりそうです。

お師匠様との邂逅・人の巻 [私事]



さて、最終回。
写真は、その日家を出る前に、自宅の庭で撮ったボケの花。
私は、お師匠様にお断りして先に会場一階へ降り、展示室で再度永瀬清子展を見ているところ。
いろいろお話を聴いた後だと親しみも増して、一つ一つににわかに愛着が湧く。
じっと見つめながらカニ歩きで横へずれていたら、後から来られた小柄な訪問着の奥様が展示に見入り、更に近寄ったと思ったらおでこをゴン!とぶつける。
「あ、イタタ…」
「…大丈夫ですか?」
努めて大げさにならないようにそうっと尋ねてみる。
「まぁ~、見えんから近付いたらぶつかってしもうたわ…ホホホ」
照れ臭そうに笑う奥様。展示物は永瀬清子の生家の手描きの古い地図。
「ガラス、かなり綺麗に拭いてありますものねぇ…」
ふふふ、と思わず笑い合う。
「ま、化粧の汚れがついてしもうたわぁ。ええじゃろうかしら?」
「…(笑)」
そういうやりとりも久々のような気がして、変にならずに言えてよかったな、などと思う。

しばらく見ていたら
「うぅー」
という唸り声とともにお師匠様が隣に立たれていて
「あ、どうも…お疲れ様です」
「うむ」
いくつか展示を指しながら説明して下さる。途中で、手押し車の年配の奥様が挨拶に来られる。
少しお言葉が不自由な方のようだけれど、お師匠様はぎこちなくも親切に応対。この会の馴染みのお客様なのかもしれない。
内容は、永瀬清子が詩人を目指すきっかけになった上田敏詩集の初版の現行価格がどうとか。少し話して、その方は離れて行かれる。
そのまま続けてお師匠様は私を案内して下さるのかと思いきや、大概見飽きたものなのか、急に順路を斜めに突っ切ったり、また別の先生に声を掛けられて立ち止まったり。フェイントというかイレギュラーというか、とても着いて行けるものではない。
まあいいか、と、途中から自分のペースで適当に見ながらウロウロ。
詩集の装丁や書体のロマンにはワクワクしてしまう。
谷川俊太郎氏が永瀬氏に送ったとされる色紙には
「シットのあまり つるっぱげ」
と、絵まで描き添えてあって、女にこういうことをスラッと仰るのもいいもんだな、などと憧れつつ眺める。

少しして気付いたらお師匠様は既に出口のところに立っておられて
「おおい、まだ観る?」
と私に仰る(ありゃりゃ…)。
「いえ、スミマセン。もう済みました」
慌てて言って小走りで近付く。
…まぁ、貧とは言え、会の前に自腹で一通り見とくべきだった気もする。反省。

お師匠様の半歩後ろを歩き、会場の出口のところで、諸々の気疲れの緊張の糸が切れて思わず
「はぁ~」
とため息をつくと(糸が切れるタイミングは今じゃないっつの…)、右手の奥にスタッフの女性の方がお二人立っておられて、お師匠様が
「ああ~、どうもぉ、お世話になりましたぁ」
と挨拶中。慌てて体勢を立て直し
「失礼致します」
と頭を下げながら会場を後に。

出てすぐお師匠様が仰るには
「貴女、おウチはどのあたりなの?」
「ええと…今の区分けで言うとX区なんですけど…」
「うーん?どのあたりになるのかなぁ」
「どう申したらいいか、XX(町名)がありますよね?」
「XX…。ああ。□□病院なんかがあるあたり?」
「そうですそうです、あれよりもう少し南に下ります。パイパスより向こうのXX(町名)寄りです」
「ほぉ…。時に貴女は普段散歩なんかはするのかな?」
「いえ、あんまりしないです…」
「そりゃあ貴女、駄目じゃないの」
「そうなんですけど…先生はなさるんですか?」(げっ、つい余計な減らず口を…)
「そりゃあ、ワタシはまぁ、歩くのも…自転車なんかもいいんだろうけども、あれは後ろから車が来たりすると危ないでしょう?貴女は家の周りをぐるっとこう歩くくらい、いいじゃないの」
「そうなんですけどね…。ウチは母が神経質で、着たなりでフラッと、というのを嫌うもんですから」
「ああ、貴女こっちの道を行きましょう(と川沿いの細い道を指す)。まあ、そういうのも少しストレスになっちゃってるのかも知れないねぇ」
「うわ、すごいいい香りですね…沈丁花かなぁ…」
いつも母のせいにする癖に(いや事実だけど)、言うと自己嫌悪な、お家事情。
ちょっと速足すぎて追い越しそうになり、お師匠様が先へおいでになるのを待つ。

「そう言えば、貴女の卒業論文のテーマはなんでしたっけね?」
「えっ、卒論ですか?『幸田文のオノマトペ』です…」
「あれの続きをやってみる気はないの?だってあれは未完のままのものだから」
「うひゃあー、大分前お会いした時も同じこと仰った気が…。いやぁ、あれはもう勘弁して下さい…」
パソコンもメールもケータイも文系の研究には主流でない時代、卒論指導は先生の官舎に直接お電話をして予約をし、ワープロ打ちの原稿を研究室へ持ち込んで、途中途中で問題点を指摘して頂くことになる。
これが21歳の私にはどうにも気ぶっせいで、小マメに見て頂くのを躊躇した結果、ほとんど勝手に183枚(400字詰めで約550枚)書いて、挙句結論らしい結論に辿りつけず。
正確には、自分で勝手に「結論はこうなるべきだ」みたいに知らず知らず思い込んで、用例をカードに書き出して洗っていたんだけど、有意な方向性が出なかったというか。研究としてはハナから間違っている態度。
最終的には口頭試問でお師匠様に
「思い余って力及ばず、というところでしてぇ」
と汗顔の弁明をさせてしまい、他の試問担当の先生に苦笑され、お情けで通して頂いたとしか思えないシロモノ。
てっきりからかわれていると思ったら
「だって、あれはまだ他に誰もやってないもの。勿体ないから。もう全集も出ているし、物故者でもあるから、新たにテキストが出るような作家でもないしねぇ」
卒論に取り掛かった時、岩波版の全集の刊行はまだ途中で、配本を待ってはバイト代で細々と買い揃えていたものだ。
「全集は持ってますし、今も好きです。いや、研究は向いてないというか…。好きだから突き詰めたくないような気もしたりして…」
しどろもどろで冷汗かきつつ、駐車場に到着。あまりに資料が重そうなので
「あの、お荷物大丈夫ですか?お持ちしましょうか?」
「あぁん?これはいいの、自分で持ちますよ」
失礼だったかなと恐縮していると、お師匠様は自分の持って来た荷物を助手席にドカドカ乗せる。どこに乗ればいいのかなと外でじっとしていると
「ああ、貴女は後部座席に乗って下さい」
とのことで、恐る恐る乗り込む。
学生時代も何度かお車には乗せて頂いたが、その時と同じ車かどうかはよく判らない。10年以上前だし、違うと思うけど。
とにかくあれやこれやつっこんである感じの車の雰囲気は変わらない。

お師匠様のお車に乗ってすぐ、
「あの、これを」
と後ろから手土産の紙袋を差し出すと
「ああ、そうだそうだ。これを受け取らなきゃ、貴女の今日の御用が済まないんだった」
「いやそんな、ホントに、大したものじゃありませんから…」
受け渡しが済むと、お師匠様が振り返って人差し指を立て
「ひとぉつ訊きたいことがある」
人の世の生き血をすすり…の怖さがある。びくびくしつつ
「は、ハイ」
「貴女は、どして一人称を『僕』にするの?何か理由があるの?」
いきなり現代詩の書き様についてのご指摘らしい。ヒヤヒヤしつつ
「ええと…『私』はなんとなく座りが悪い感じがして『僕』の方が語感が書きやすいというか…。理由はそれだけです」
「まあ、いろいろ試してみればいいと思うんだけれども。詩は特に断りがなければ自分が主体になるわけ。そうした時に、『僕』がポーンと出て来ちゃうと、そのぅ、書き手との間に距離が生まれて、客観的な、第三者的な感じになってしまうのね」
「ハイ…。『私』にも、慣れて行くようにしたいと思います」
「それと、詩の会、同人なんかで集まってるところがあるわけだけれども、そういうところに所属してみたいというような想いはないの?もうどこか入っている?」
「いえ入っていません…。それは、どうしたらそうなるのかよく分からなくて。どこかに入ってみたいような気持ちは、…ありました」
ホントは、お許しが出れば、お師匠様主宰の雑誌に寄稿できたら、と当初は考えていたのだけど、つい先頃廃刊となったとの事なので、黙っておく。
「貴女は女性の多い会の方がいいような気がするんだけれど…、○○さんのとことか、○○さんのとことか。どういうひとの詩が好きなの?」
「その…自分は詩を書きますけど、詩人の作品に詳しい方ではないと思います…。詩集をたくさん持っているとかではないんですが、吉野弘さんなどの詩は好きで…」
段々声が小さくなってしまい、訊き返される。
「誰って?」
「吉野弘さんです…」
我ながら、吉野さんにも頗る失礼な、思慮浅そうな答だなと思いながら、俯いて答える。
「あそう。ただねぇ、貴女の負担になってもいけないから…。気が向いたらまたメールででも報せてくれれば、紹介してあげます」
この上ない話だと解っているが、同時に微かな見捨てられ感もあった。
正直、女性の多いところでの人間関係はあんまりうまくいった試しがない。病気の事もある。
この状態だと、まず紹介主のお師匠様の顔に泥を塗るのは間違いないし、ストレスが昂じて不安定になり、和やかに集っておられる方々に迷惑をかけるようなことになったら目も当てられない。
完全にネガティブ思考にハマりつつ、
「ありがとうございます。それが先生の御意見なら…。ただその、負担になるかどうかはやってみないと判らないところもあって、今迄も何かやってはストレスが増して薬も増えて、みたいなことを繰り返して来たので、少し不安もありまして…。ドクターに、相談を…」
と焦って泥沼な言い訳をしていたところで岡山駅のロータリー着。
関西の旅行キャンペーンでテントが並び、時ならぬ混雑。
「む、なんだ、これは」
お師匠様はぶつぶつ言いつつ車を取りまわしている。車が止まったので
「あの…また、先生ともゆっくりお話がしたく、思います…」と言うと
「だ~から貴女、ワタシの住所知ってるでしょ?そこへ来てくれたらX階におりますから」
「は、はぁ、あの、車でもお伺い出来ますか?」
「それは事前に言ってくれればぁ、何番が空いているか知らせますから…ああ、後ろから車が来ますよ」
「は、スミマセン。それでは、どうも今日はお招きありがとうございました」
「………ね」
「はっ、ハイ?」
「元気でね!」
「はい、ありがとうございます。お気を付けて!」
ドアを閉め、去っていくお車を見送る。

なんとなくぼんやり不安な気持ちになりつつ、他にも行きたいところがあったのだけど、くたくたで気力がなくなる。
駅の三省堂で「ユリイカ」巻頭の雨ニモ負ケズ論争を途中まで読んで頭が痛くなり、永瀬清子の本は見つけられず、迷いに迷って『日曜日の万年筆』(池波正太郎)と『海』(小川洋子)の文庫本を買う。
父から電話があり、グランヴィアの脇で車待ち。今日は午後から雨の予報だったが、どうにかもったようだ。助かった…。

会そのものも、お師匠様との再会も総じて見れば楽しい一日。
ただ、一対一はまだしも対人が得意でないところが万事気遅れのもと。
ともあれお師匠様は、あまりお変わりなく、むしろ病み上がりでいらした退官の頃よりお元気そうでホッと安心。嬉しいことだ。

駅からの帰りに父とジャスコに寄り、ミル貝の握り2カンとオロナミンCというワケの分からない組合せで小腹を観たし、20時半頃帰宅。


ハツラツぅ?…て感じではなかったような。
三歩進んで二歩下がる一日だったかな…。
一歩は進んだことにしとこう。
これにておしまい。長文失礼致しました。

お師匠様との邂逅・地の巻 [私事]



さて、先日の続きをば。
お師匠様は私に気付かず隣に座って下調べに没頭、というところから。
朗読の部が終了して、10分休憩に入った。
「お茶とお菓子を準備しておりますので、皆さまこちらでどうぞぉ」
と呼びかけがあるが、いきなりお初で目上の方9割の中で我勝ちに飲食って、そっ、そんな度胸はない…。
ええいままよ、と隣に向き直り
「先生、先生!」
「…」
「S先生!」
「ハァイ?」
ぼうっと怪訝そうな顔がやっとこちらを向く。一瞬ひるむが
「あの、chisatoです」(あ、苗字で言いましたけどね)
「あぁ、あぁ~」
と相好を崩すお師匠様、というわけでようやく御挨拶叶ったり。虎の尾を踏むバリに緊張した。
「随分大人っぽくなられてぇ」
「イエイエ、老いただけですから」
「老いたって貴女、そこは成長したとか言ってくれないとぉ」
「す、スミマセン…」
いきなり失言。成長とはいかないにしても、ボキャ貧だな我ながら。
(ちなみにワタクシ「貴女〔アナタ〕」なんてキャラじゃないですが、お師匠様がメールでこう呼ばれるので表記を準じてみました。ご了承を)
「お荷物になって、申し訳ないんですけど…」
と、もさもさ手土産を渡そうとしたら
「え?あらまー、来てくれればそれでよかったのに貴女」
と苦笑され、発表の時間で前に移動しなければ、とのことで、
「貴女、それはちょっと預かっておいてもらってぇ、後で渡してもらおうかな?それと、今日貴女何で来られたの?」
と訊かれ、
「駅まで父に同乗して、そこから歩きです」
「ワタシ今日ね、駐車場がちょっと遠いところに置いちゃってねぇ」
「あ、そこまでお送りします」
「あそお?それじゃ帰りは駅まで乗って行きなさいよ」
「え、構いませんか?では、お言葉に甘えて」との次第。
お師匠様は東北の出の方で、やんわり籠っておっとりした話しぶりでいらっしゃる。
トレンチコートを脱いで、前に出て行かれたのを見ると、青と紺の粗いタータンチェック地の三つ揃い、という、相変わらず独創的な仕立てのお洒落。

会はその後はミニトークショーと称して、詩人の方を中心に小講義のようなものがあって、永瀬清子の来歴なども含めかいつまんでお話があった。
この会自体は私が行きそびれた去年のものも含めて何回か催されたそうで、今日はその一応の締めくくりという位置づけらしい。
お師匠様との再会に気を取られて正直あまり下調べも出来なかったが、彼女は私の父が松山から帰岡した最初の数年と、定年までの数年を過ごしたハンセン病施設にも詩の指導に長く訪れていたそうな。
また、宮沢賢治の『雨ニモ負ケズ』が書きつけられた黒い手帳がトランクから発見された折に同席した、唯一の女性詩人が彼女であったりもした。
(この詩を、私の生まれる前に没した父方の祖父は何度も得意の書で書いて、額装したものが今もひとつ父の実家に残っている)


↑6年前のケータイ写真なので写りがヒドいですが、祖父の額の一部。

更に父母の母校の校歌の歌詞も彼女の作と知り、思い込みかも知れないが、意外な縁のある方だなあと目を見張っていた。

三番目に出て来られたお師匠様は、壇上に上がられて開口一番
「え~、今日は一応一人7分で喋って下さい、と、こういうことなんでぇ…」
会場に笑いが広がる。ははっ、無茶だわそりゃ。道理でその前の方々も落ち着かない御様子だったわけだ。
しかし、7分の為に、あんなに資料持って来られていたのか…。
「ワタクシも、岡山へ来て35年になりますけども」
には、えっ、そんなに?と今更ビックリ。大学時代がもう15年くらい前だけど、私が生まれた時にはもう岡山におられたんだなぁ。
…などと感慨に耽っている間に何か本を示してお話しされた気がするのだけど、そこを聴き逃してしまった。あのバリバリ油紙の本だと思われる。
そこから永瀬氏との実際の交流の想い出話。御自分の本の出版記念の席で、丸山薫の書簡研究の際、永瀬氏から丸山氏への手紙があったことを踏まえ
「貴女の本、買っています」
と永瀬氏にお声をかけ
「あら、貴方買ってるの?」
と彼女が仰ったそうな。それからしばらくあれこれとお話されたとか。
次に、師匠・佐藤惣之助について。彼は小マメな人で、彼女が子供を産んだ時も面倒を見たりしていたとか。魚釣りの好きな人で、彼女をとても買っていたらしい。
永瀬氏は家の長男が亡くなったので、跡を取るために親の薦めで親戚の男性をもらう形で結婚。当時としては珍しくない。
「式の日に、『終生、詩を書きますからね』と、まぁスゴいことを仰るわけです」
と、さも面白そうに話される。スゴいことなんだろうなぁ、当時としては。今もか。
彼女は結婚で大阪に移った後、夫の転勤で上京。
大阪で所属していた『五人』という雑誌の岩田潔の紹介で、後に日本詩人協会の理事長となる北川冬彦の第一次『時間』へ参加することとなる。
師・佐藤惣之助のもとを離れる際、永瀬氏は手紙を書いている。佐藤氏は時勢を悟り、留立てせず快く送り出したそうだ。
しかしその後二ヶ月で彼の主宰する『詩之家』は廃刊。
彼女への思い入れ故の事かどうか、研究を要するところ。

一方、昭和の詩流の中で、同人誌『亜』との関わりは希薄(永瀬氏が見ていた形跡がない)。
「これがその原本です。ちょっと回しますから」
と、数冊回覧。しばらくして一冊手元に回って来た。手で創りました、ガリを切りました、という雰囲気のある雑誌。ゆっくり見る時間はなく、お裾分け程度。
また『四季』という雑誌には世に知られた「諸国の天女」一篇のみの寄稿となっていることについてもまだまだ研究の余地がある、などと語る間に左手でチン、と卓上鈴が鳴り
「先生、そろそろお時間が…」
申し訳なさそうに声がかかる。
大学講義の90分ですら大抵足りてなかったし、退官講義の時もレジュメがどんどん飛ばされた上で話終わってなかったもんな~。脱線というのとは違うんだけど、いつも話し切れないもどかしい感じを持っている方。ひっくるめて懐かしい。

終了して、椅子などの片付けが始まったので張り切って参加してみる。
形は同じ椅子の、色を揃えるとか揃えないとか、最終的にはカートに乗せて奥に運ぶのだとかどうとかで、男女で意見が分かれて若干モタモタ。
ご想像通り、男性陣は「色は別にいいんじゃないの?」であり、女性陣は「それは揃えて下さい」となる。面倒くさいが、ちと面白い。
手伝いになっていたのかどうか微妙だが、どうにか大体は片した。

息をついていると、アラフォーくらいの女性の方に声をかけられる。
「あの、あなた、S先生についとられたの?いえね、さっき先生がそう仰っとってじゃったから」
「ええ、そうです。ええと…」
「私、○○言うんじゃけど。岡大の哲学で○○先生についとってね~」
「あ、そうなんですかぁ…。友達で哲学行った人はいるんですけど…」
「最近、図書館とか行きよる?大学の」
「いや~、なかなか行けなくて」
「私、よう行きよるんよ。あそこ、本がいっぱいあるじゃろう?」
機嫌良くお話しになって、さっと離れて行かれたので、お名前を忘れてしまったし名乗り損ねてしまった、と気付いて慌ててもう一度呼びとめて名乗った。
そのひとは少し困惑した表情で
「ちょっとこのあと、行かにゃおえんもんじゃけえ。また、またな!」
と言って去って行かれた。うぅ、正しいリアクションが解らん…。

お師匠様はI先生とお話し中。
さっき後ろで話していた折にお師匠様に、
「Iさん知ってるでしょ?」
と訊かれたが、私は無言で首をブルブルっと振るばかり…。
「あそう?彼はいい詩を書くよ」
とお師匠様。底抜けの無学でまったく情けない。ミニトークも穏やかで、上品なユーモアをまとった優しいお人柄を感じた。
私は気を利かせたつもりで斜め後ろから近寄って
「先生、センセイ!お話し中スミマセン」
お師匠様が振り返り
「ああ、そうそう、ワタシ、貴女を送らないと。帰りますよ」
「あ、イエ、私、少し下の展示観てきてもよろしいでしょうか?先生方はどうぞごゆっくり」
「うん?ああ、ハイ。じゃあまたあとでワタシが下の展示室に貴女をお迎えに行けばよい、とこういうわけね?」
「そ、そうですね…ではお待ちしてます」と飛ぶように展示室へ駆け下りる。

今日はこのあたりで。って、手を加えてたら長くなったなオイ…。
冒頭写真は同時開催、「永瀬清子展」の看板。

お師匠様との邂逅・天の巻 [私事]



今更ですが、3月20日の外出記録をば。
この日は、大学の恩師で現代詩のお師匠様の誘いで『永瀬清子の詩を読む会』@吉備路文学館(冒頭写真が全景)へ。
早くから起きて(というか入眠失敗気味)服薬、小粒タウロミン(痒み止め)。
軽くパンで食事を取って、11時過ぎに父の車に同乗して駅前へ。
車を降りて、高島屋→さんすて。
高島屋は地下で祇園小石の「桃の香飴」と家用に「梅酒にて候」を買う。
(桃の香飴は三月限定なので、残り一個でした…)
さんすてに移動して、2F南館のルピシアで缶入りの桜茶などごくささやかな手土産を見繕う。自宅用にも少し。


↑こういうやつ。フレーバーティーってどっちかというと苦手なんだけど、これは桜餅風で好きでした。
荷物を持って、徒歩で吉備路文学館へ。
事前にネットで地図を見て来たんだけど(しかも一度行ったこともあるし、父の元勤務先の近くで、職員駐車場を借りたりもしていて土地勘もなくはないはずなのに)案の定軽く迷う。
もう、ホントにこれがあるから外出はハラハラする。
しばらく迷って、どうにかベネッセのビルを目印に軌道修正して到着。

受付でレジュメ等受け取り。
「朗読をされる方ですか?」と訊かれ
「えっ、いえ…あの、呼ばれて参りました…」って、お前はハクション大魔王か。
今日は入館料も免除になるようなので、少し永瀬清子の展示を観ていた。
何故かRSKのカメラが入っていて、思わずそれを避けたら順路の逆になってしまい、いきなり晩年のあたりをうろうろ。
周囲がざわっと動き始めたので慌てて切り上げ2F会場の末席へ。
最初から関係者の紙が貼ってある椅子が多い。50席くらいか。左・中央・右にざっくり分かれているんだけど、最初左ブロックの最後尾に座っていたらひとが連れ立って来たので横へ移動。中央ブロックの最後尾左端にて待つ。
既に人がおられたので声をかけて隣に座らせて頂いたのだが、どうやらその方はペパーランド(岡山の老舗ライブハウス)の関係の方のようだった。
お師匠様が見当たらないが、多分右前方に控室っぽい空間があるので、そちらで待機されているのだろうな、と。

詩の朗読が始まって、神妙な心持ちで聴き入っていたら、まず記録用に入っていると説明のあった撮影カメラマンがプロジェクターのコードを引っかけて、パワーポイントを投影していたノートパソコンがひっくり返る。うわわっ、だ、大丈夫かっ?
私も会社員の時、会議でこういう資料を作っていた。残業続きでフラフラになって準備しても、当日パソコントラブルなんかがあるとイチコロなので、他人事ながらドキドキ。
どうにか無事だったようで、ホッとして続けて聴いていると、狭い通路を挟んで左真横に空いていた席に遅れて来た男性が「むぅ~」と言いつつどっかと座る。
ベージュトレンチコートが視界に入り、つられてチラと見るとお師匠様の横顔。
「せ、センセイ!」
かすれた叫び声が出る。
私に気付いて隣に座られたのだろうか?と一瞬思ったが、どうやらそうでもないらしい。
しかも朗読されている最中だし、パッパと入れ替わるし、声をかけるきっかけなし。観念して、しっかり聴く。
知っている詩もそうでないものもあるが、声で聴くというのはまた違う雰囲気があって温かく届いてくる気がする。
夫との関係を嘆く件には「ウチの両親みたい」と苦笑を禁じえず、その夫の優しさを回顧する場面では涙ぐむなど、めくるめく感情。
しかし隣のお師匠様は、まだ発表の下調べの最中らしく、朗読そっちのけでガサゴソガサゴソ。横目で見ると、肩が抜けるかと思う程ぎっしりの文献を袋に詰めて担ぎこんで来られている。
時折「ぬうぅ」と唸っては、古い厚手の書籍で、油紙でくるんだものをケースから出したりしているので、結構バリバリと派手な音がする。
知らない人ならどう思うのかなぁ、と考えつつ、何せこの方にしてこの状況はさもありなん、もう私はおかしくておかしくて仕方ない。
前の詩の朗読の方はシリアスの極みで、笑いをこらえるのにホントに困った。
途中紙切れを落とされたので、いざ!と拾ってお渡ししたが「あ」と受け取られたのみで気付かれず…。ちょっと、お師匠様!

ひとまず今日はこのあたりで。また三部作か?

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。